歴史・理念

歴史·理念

捜真の歴史と理念

初等科の閉鎖と小学校再開

捜真は、今年創立131周年目を迎えております。創立当初から男女共学の初等科を持っておりましたが、明治32年に文部省から義務教育の段階で特定の宗教を教えてはいけないという法令がでました。捜真は教育の土台のキリスト教を抜きにしては存在価値がないと判断して、その時に初等科を閉鎖いたしました。 小学校を再開いたしましたのは、1957年(昭和32年)です。再開しました目的は、勉強だけの教育ではなく、心の豊かな人格形成をおこなう教育=トータルなバランスのとれた人格を育てる教育を行うためです。この心豊かな人格教育とは、「愛の心の教育」によるものです。捜真は創立以来、この「愛の心の教育」を大切にしてまいりました。その基盤になっているのが聖書です。聖書はその全体を通して、人間を愛してやまない神様の愛について書かれています。ですから、私たちが目指しておりますのは、「神の愛に基づいた愛の教育」です。

二つの「真理を捜す」

捜真という学校名は、1892年に定められ、130年間変わっておりません。100年を越えて校名を変えない学校は日本中でわずかしかありません。私たちはこの学校名に捜真の教育の総てが語られていることを誇りにしております。 捜真、真理を捜す(truth-seeking)と言う意味ですが、この真理とは何でしょうか。真理は大きく分けて二つあると思います。 一つは、学問的真理の探求です。学校であるのですからこの真理を捜すことはもちろんですし、他の学校でも当然この真理探究をされています。学校は学習の場ですから、沢山のことを組織的に学ぶ所です。子どもたちは頭の柔らかいときであり、意欲的に知ることを求めるときであり、秘めた可能性が段々でてくるときでもあります。驚くような成長が見られ、楽しみなときです。人間のみが持っている向上心を磨いて、多くの知識を身につけられます。しかし、それは単なる知識の詰め込みではなく、探究心と自分で答えを考え見つける楽しみのある学習方法を身につけるところでなくてはなりません。 また、この知識(knowledge)に人生を生きる知恵(wisdom)が加わらなければなりません。知恵は人との関係の中での経験によって得られるものであり、「愛に裏打ちされて、本当に重要なことを見分けられる」力なのです。知識に知恵と愛と心とを加え、将来人の役に立つ大きな人になるよう学びの時を大切にしています。 もう一つは、聖書の教える大切な真理です。この真理は、私たちの人生に本当の意味を与えるもの、あるいは、私たちの人生に光を当てるものです。言い換えれば、「私の生きている意味」、「自己存在の意義」を捜すことでもあります。どんな小さな子どもでも自分が存在していることを認めてもらいたいものです。「認められているとき」、「愛されているとき」に、人は安定した心をもち、生きる喜びに満たされ、自己存在の意義を感じるのです。 捜真では、命も死も支配したもう全知全能の神、私たちに命をお与え下さる神がいらっしゃることを毎日の礼拝を通して教え導きます。そして、私たちはこの神に知られ、愛されている存在であると言うことを、聖書を通して伝えております。神様から愛されていることを知ることは、他の人もまた同じように神様が愛していらっしゃる大切な存在であることに気がつかせ、「共に生きる」ことの意味を学んでいきます。神の愛は無条件に総ての人を受け入れてくださる愛です。命の源である神に愛されていることが、私たちの「存在の意義」、「存在理由」なのです。聖書に基づく捜真の教育は、この「神の愛」に基づいた「愛の教育」を心掛けている「愛の学校」です。

共に生きることを学ぶ

教育の目標の一つは、「共に生きる」ことを学ぶことにあります。人は一人では生きることはできません。人が人となるためには、人のあいだで生きなければならないのです。特に子どもたちにとっては、同じ年代の子どもたちとの仲間作りは大切です。仲間としての一体感や連帯感、きずなが子どもたちの成長を促します。ところが、友達関係ができてきますと、問題が起きてきます。問題があって当たり前なのですが、家庭では子どもの数が少ないので、余り我慢したり、譲り合うという関係がありません。そのために、家庭では人間関係の摩擦が生まれにくいのです。そして、最近は摩擦や問題が起きること、傷つくことを恐れるため、人との関わり、共に生きる関係、友達作りが上手に出来なくなっているように思います。本来、問題があるところから、学びも始まるのです。 問題がないのではなく、問題が起きたとき、どのようにその問題と向き合い、逃げることなく関わるかが大切なことです。そして、お互いに許しあい、受入れ合い、助け合い、支え合い、問題を解決していく経験をするのです。その経験が生きる喜びと感謝に代わり、一回りもふたまわりも子どもを大きく成長させます。更に、共に成長する人達と協力して、自分の人生を自分だけのものとせず、積極的に人のために生き、愛に生きる生き方をすることによって、人生が意味あるのものになり、「生きている意味」の素晴らしさを知るようになるのです。この愛に生きる生き方を捜すこと、即ち、神に愛されていることを知り、他者を愛し、自分を大切にする生き方を捜すこと、これが真理を捜す、「愛の学校·捜真」の教育の基本理念です。 21世紀を担う子どもたちは、「愛の教育、心の教育」うけ、それを用いて平和を作りだすことに貢献できる人でなければなりません。世界の平和が崩れ去ってしまった今、私たちは再び平和を構築することに心を砕かなければなりません。平和は遠くのことではなく近くの、自分の周りから作り出し、その平和が自分たちの時代だけで終わるのではなく、次の世代に引き継ぐこと、渡していく事の出来る児童を私たちは育てていきたいと願っています。

児童と教職員

このような心の教育は、礼拝を通して行われるのはもちろんですが、学校生活の全てで行われています。音楽、美術、造形など専門の教師が熱心に指導しておりますし、大きなパイプ·オルガンにも挑戦することができます。礼拝の中で弾くチャンスがあります。経験した子どもにとっては生涯忘れることの出来ない感動であり、思い出になります。また、友達と遊んだり、スポーツをしたりするなかで、心を広くすることを学びます。学校の敷地のなかに自然豊かなべタニヤ·ガーデンや、池の周りにさまざまな植物が育つビオトープがあります。子どもたちはそこで遊ぶのが大好きです。遊びは子どもにとって大切なことです。フレーベルは「遊びこそ自己の内面を自由に表現したものであり、子どもの遊びのなかには喜びと自由と満足がある」と言っています。子どもたちの創造力を育て、自然のなかでは鳥や虫の営みから生命の大切さを学び、木や草や花の匂いによってすがすがしい気持ちになります。子どもたちは木登りをしたり、メルヘンの世界に遊びます。子どもらしい、元気一杯の姿が見られます。目が活き活きと輝いているのです。 教職員は、子どもたちの心を受け入れ、個性を大切にしています。受け入れてもらえる安心感が子どもの心を自由にし、教職員とのよい信頼関係を生み出しています。この信頼関係の土台は、まず神がそのままの私を受け入れてくださり、愛してくださることを教職員たちが知っているからです。教職員は自らも神の愛を自覚し、キリストの教えを確認するために毎朝、授業の前に祈祷会を行い心を整えて児童の前に立ちます。教職員にとって、児童一人一人は神様から託された大切なかけがえのない存在として、丁寧に誠実に係わってまいります。心を込めて教育の業に当たらせていただきます。そしてなによりも、私たち教職員は、ご家庭と共に力を合わせて、神に喜ばれる教育を心掛けております。子どもたち一人一人の全人格が育てられていくように希望と祈りを持って努力しております。

射程距離の長い教育

捜真では、女子は中学部、高等学部と続きますが、男子は受験という次への大きなハードルを越えなければなりません。しかし、そのハードルを越える力とエネルギーのある生徒に成長しますし、実際、受験を経て一段とたくましく大きく成長した姿を見せてくれます。また、捜真で育てられた男子は心が豊かですから、人間関係が円満で、社会においても世界においても良い働きが出来る人になると信じております。神を愛し、他者を愛し、自分を愛すること、この教育が実を結び、世界にそして平和へ貢献できる人になると信じております。 卒業しても沢山の卒業生が里帰りのように学校を訪ねてきます。自分が帰ることの出来る所がある人は幸いです。そこに帰れば、ありのままの自分を受け入れてもらえる安心感と居場所があるのです。揺れ動く不安定なときに、悩みを抱えて辛いときに、心の拠り所のある人は幸せです。例え、失敗をしたとしても、そこから次に向かって生きるエネルギーが沸いてくるのです。マイナス経験をプラスに変えていく心を得ていきます。そして、真の心の拠り所、自分の帰属する所は永遠に変わることなく自分を愛してくださる神であることを大人になって分かる者もたくさんおります。その意味で捜真の教育は今だけに焦点を当てる教育ではなく、射程距離の長い教育ということが出来ます。

沿革

  • 1886

    明治19年

    横浜の外国人居留地山手67番にあった、日本で初めて聖書がつくられた印刷所の2階で、バプテスト派宣教師でアメリカ人のシャーロット·ブラウンが7名の少女の教育にあたり、翌年10月1日に、「英和女学校」の看板を掲げる。

  • 1890

    明治23年

    第2代校長クララ·A·カンヴァース来日。

  • 1891

    明治24年

    山手34番に校舎を建設、英語名「メリー·エル·コルビー·ホーム」、日本名「捜真女学校」と定める。

  • 1899

    明治32年

    文部省(当時)の訓令12号を受け、初等科を閉鎖。

  • 1910

    明治43年

    現在の神奈川区中丸に校舎を移転。

  • 1945

    昭和20年

    5月29日の横浜大空襲により、わずか30分で校舎が燃え尽きる。

  • 1948

    昭和23年

    校舎再建

  • 1957

    昭和32年

    千葉勇第6代捜真女学校校長により、男女共学の小学校が再開される。 同年、静岡県御殿場市で自然教室が始まる。このころに、 室内プール、体育館、カンヴァースメモリアルチャペル落成される。

  • 1986

    昭和61年

    創立100周年記念式典

  • 2006

    平成18年

    創立120周年記念式典 自然教室改築

  • 2007

    平成19年

    小学校再開50周年 記念式典

  • 2010

    平成22年

    中丸移転100周年記念式典

  • 2011

    平成23年

    創立125周年記念式典

  • 2016

    平成28年

    創立130周年記念式典 7号館(カフェテリア·学習棟)完成

  • 2017

    平成29年

    小学校再開60周年記念式典