4月27日(月)礼拝メッセージ

2020.4.27

Soshin Jogakko

ひたすら走る赤の女王

中2副担任 日浦 華子

【聖書】フィリピの信徒への手紙 3章13-14節

兄弟たち、わたし自身は既に捕えたとは思っていません。なすべきことはただ一つ、後ろのものを忘れ、前のものに全身を向けつつ、神がキリスト·イエスによって上へ召して、お与えになる賞を得るために、目標を目指してひたすら走ることです。

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生物は細胞という小さな単位でできています。私たちヒトは約37兆個の細胞でできていると言われています。

今回私たちを苦しめているウィルスは細胞のようなものでできていますが、細胞ではありません。ですから生物の仲間か、というと微妙な位置にあるわけです。(現にコロナウィルスに関するニュースの中で、何人かの医療関係のコメンテーターたちが「ウィルスは生物では無い」と断言していました)

ウィルスは簡単な細胞のようなものでできていますが、私たち生物の細胞に比べると100~1000分の1と、とんでもなく小さい大きさです。ですからウィルスは、私たちの細胞に簡単に入りこんでくるのです。そして私たちの細胞を破壊してしまいます。

寄生される私たちは入ってくるウィルスに対して時間をかけて防衛能力を身に付けますが、ウィルスはすぐにタイプを変えてまた私たちに襲いかかってきます。インフルエンザウィルスにA型やB型など色々なタイプがあることでもわかりますよね。

私たち生物は、ウィルスとの戦いの歴史を繰り返してきたとも言えます。

生物と変化し続けるウィルスとの関係について出されている学説があって、「RED QUEEN説」(赤の女王説)と呼ばれています。赤の女王とは、不思議の国のアリスに出てくるトランプの女王のことです。

不思議の国のアリスの続編、鏡の国のアリスでは、チェスのゲームのやりとりで、話が進められていきます。アリスが性懲りもなくまた不思議の国に迷いこんだときに、チェス盤の上で赤の女王と走り始めるシーンがあります。ますますスピードを上げて走る女王に、アリスがなんでそんなに走り続けるのかと聞くと、女王は「この国では同じ場所にいるためには走り続けなくてはいけないんだよ」と答えます。現状を維持するためには走り続けなくてはいけないというこの赤の女王のセリフが生物とウィルスとのやりとりを表しているのです。

現状を維持するためには変化し続けなくてはいけない。すなわち、変化するウィルスに対抗して私たちも変化し続けなくてはいけない。この「私たちの変化」というのは、体の中の免疫力アップなどの物理的なものもありますが、臨機応変さや忍耐などが必要なのでしょう。

現状を維持するためには私たちも変わらなくてはいけない。

現在私たちは思いもよらない局面におかれています。変化に柔軟に対応するしなやかさが求められているのだと思います。皆さんの今の輝きを曇らさないように、そしてさらなる成長のために、前向きに出来ることを見つけて進めていきましょう。

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