4月24日(金)礼拝メッセージ

2020.4.24

Soshin Jogakko

信じて歩みを起こす

中学部3年学年主任 三宅 義人

 

【聖書】マルコによる福音書5章25節~36節(新約聖書70㌻)

さて、ここに十二年間も出血の止まらない女がいた。多くの医者にかかって、ひどく苦しめられ、全財産を使い果たしても何の役にも立たず、ますます悪くなるだけであった。イエスのことを聞いて、群衆の中に紛れ込み、後ろからイエスの服に触れた。「この方の服にでも触れればいやして頂ける」と思ったからである。すると、出血が全く止まって病気がいやされたことを体に感じた。イエスは、自分の内から力が出て行ったことに気づいて、群衆の中で、振り返り、「わたしの服に触れたのはだれか」と言われた。そこで、弟子たちは言った。「群衆があなたに押し迫っているのがお分かりでしょう。それなのに、『だれがわたしに触れたのか』とおっしゃるのですか。」しかし、イエスは触れた者を見つけようと、辺りを見回しておられた。女は自分の身に起こったことを知って恐ろしくなり、震えながら進み出てひれ伏し、すべてをありのままに話した。イエスは言われた。「娘よ、あなたの信仰があなたを救った。安心して行きなさい。もうその病気にかからず。元気に暮らしなさい。」

イエスがまだ話しておられるときに、会堂長の家から人々が来て言った。「お嬢さんは亡くなりました。もう、先生を煩わすには及ばないでしょう。」イエスはその話をそばで聞いて、「恐れることはない。ただ信じなさい」と会堂長に言われた。

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 私たちの学校では、毎年11月の感謝祭礼拝で日雇い労働者、ホームレスの町である寿地区で行われている炊き出しのために野菜やお米を持ち寄り、献品しています。「数は力なり」ではありませんが、一人ひとりが持ち寄る量は少しずつであっても、全校が集まれば、ワゴン車一杯の野菜やお米が集まります。

一人ひとりが出来ることには当然限りがあります。だから時として「自分一人の力では変わらない」と諦めたり、行動することをためらってしまうということがありうると思いますし、私自身を振り返った時も、そういう諦めモード、ためらいモード、嘆きモードに陥って行動に移そうとしないということがよくあります。

今日取り上げた聖書の話は、こんな話です。ヤイロという父親の幼い娘が危篤になっていて、父親がイエスに助けを求め、イエスは父親と共に娘の所へ向かいます。大勢の人々(見物人)もイエスに付いていき、混乱していたのだろうと推測されます。そこへ12年間も出血が止まらない病気に苦しめられていた女性がやって来て、イエスの服に触れます。理由をこう説明しています。「『この方(イエス)の服にでも触れればいやしていただける』と思ったからである(28節)」と。するとたちまち女性の出血は止まり、病気が治ったことを感じたのだそうです。イエスは自分の中から力が出ていったことを感じて、「わたしの服に触れたのはだれか」と問います。そばにいた弟子たちは、「この混乱の中でわかる訳ないじゃないですか」と言います。それでもイエスは、触れた者を探すことを止めません。すると女性が恐る恐る進み出て、すべてをありのままに話しました。するとイエスは「あなたの信仰があなたを救った。安心して行きなさい。元気に暮らしなさい(34節)」と答えます。そういうやり取りの最中に、危篤の娘が死んだという知らせが届くのです。イエスは娘の父親に、「恐れることはない、ただ信じなさい(36節)」と言います。そして最終的には危篤の娘は助かったというのが話の内容です。

大阪に寿地区と同じような日雇い労働者、ホームレスの町である釜ヶ崎という町があります。この釜ヶ崎で活動していらっしゃる本田哲郎さんという神父さんがいらっしゃいます。本田さんが、そういう日雇い労働者やホームレスの方々との関わりの視点から独自に訳した聖書が『小さくされた人々のための福音』という題で出版されています。私は、この聖書を今通っている教会の牧師先生からいただきました。その聖書では、服に触れればを、「服につかまる、つかむ」,あなたの信仰があなたを救ったを、「信頼をもってあゆみを起こしたことが、あなたを救ったのだ」,恐れることはない、ただ信じなさいを、「おそれるな、ひたすら信頼してあたりなさい」と書かれています。

「信仰=信じてあゆみを起こすこと」、「信じる=信じてあたること」というのです。今年度は前例のない形で新年度を迎えました。この一年がどのような一年間になるか今の時点では見通しが立ちません。不安と混乱の中であっても、今自分にできるあゆみを起こしていくことが私たちに求められているのだということを思わされます。みんなで一緒にがんばって、この年も信じてあたっていきたいと思っています。

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