4月17日(金)礼拝メッセージ

2020.4.17

Soshin Jogakko

「マイ·ルール」

宗教主任 藤本 忍

【聖書】マルコによる福音書15章16節~20節

兵士たちは、官邸、すなわち総督官邸の中に、イエスを引いて行き、部隊の全員を呼び集めた。そして、イエスに紫の服を着せ、茨の冠を編んでかぶらせ、「ユダヤ人の王、万歳」と言って敬礼し始めた。また何度も、葦の棒で頭をたたき、唾を吐きかけ、ひざまずいて拝んだりした。このようにイエスを侮辱したあげく、紫の服を脱がせて元の服を着せた。そして、十字架につけるために外へ引き出した。

 

フィリピの信徒への手紙2章6節~9節

キリストは、神の身分でありながら、神と等しい者であることに固執しようとは思わず、 かえって自分を無にして、僕の身分になり、人間と同じ者になられました。人間の姿で現れ、 へりくだって、死に至るまで、それも十字架の死に至るまで従順でした。このため、神はキリストを高く上げ、あらゆる名にまさる名をお与えになりました。

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新型コロナウィルス拡散防止のために、 3 月に行われた高等学部卒業式の参列人数に制限 がかかり、卒業式への出席ができなくなった元同級生が3人いました。どうにか参列を許 してもらえないかと、校長に直談判したようでしたが、もちろん答えは NO でした。諦めきれない彼女達を見て私は、「ルールの中で勝利を収めなさい」と言いました。出席はできない、けれど気持ちを伝えるにはどうしたらいいか、考えて欲しかったのです。当日、彼女 たちの姿は式にはありませんでした。式を終え、HR を終え、部活ごとの儀式を終えて、卒 業生たちが正面玄関から出て行きました。元同級生3人の姿は正面玄関の外にありました。徹夜で書いた手紙を、卒業生146人全員一人一人に渡していました。「祝·卒業」と書いた横断幕を掲げながら。

なぜ「ルールの中で勝利を収めよ」と難題を言ったのか。それは、大好きな映画「炎の ランナー」の大きなテーマだからです。これは1924年のパリ·オリンピックに出場したイギリスの陸上選手達を描いた映画です。100m 走の優勝候補だったエリック·リデル は、中国への伝道を控えていた宣教師でもありました。100m予選が日曜日だとパリへ の出航の日に知り、出場できないと言い出します。宣教師にとって、日曜日の礼拝ほど大切なものはありません。オリンピックの金メダルと安息日の礼拝。誰もがオリンピック出 場の方を選びそうですが、彼はイギリスの太子や貴族、大会の委員長から何と言われても、祖国と国王への忠誠よりも、神への信仰の方が勝るとして拒否します。マイ·ルールです。誰が決めた訳ではない、自分のルールです。神の栄光を表すために走っていた彼にとって、神の掟を破ってまで走る意味はないのです。しかし、2種目をエントリーしていた友人の アンドリューが木曜日に行われる400m走の出場枠をエリックに譲ると言い、話は好転 しました。急きょ400m走に出場することになったエリックでしたが、なんと優勝して 金メダルを獲得します。彼はマイ·ルールの中で見事に勝利を収めたのです。

国内にいる卒業生も、海外で働く卒業生も、よく同じ事で悩みます。「打算なく純粋に相手のことを思って行う行為でも、人からは何か下心があると思われたり、または、お返しがあったりする。Give&Take で世界は回っているみたい。私には下心もないし、見返りもいらないのに。」と。「今まで受けてきた捜真教育やその価値観だと生きにくいと感じるなら、やめてもいい。生きやすくなるのなら世間に合わせてもいいのではないか。」と私は言います。すると必ず返ってくる答えは「そうすると自分が自分でなくなる」です。どちらを選んだらいいか良心がわかっています。でも、いつの間にか私達は楽な方、世間から浮かない無難な方を選ぶようになっていきます。でも、そうすると自分が自分でなくなる。そこで顔を出してくるのがマイ·ルールです。

キリストのマイ·ルール。それは神の御心と思えないことはしないことでした。たとえ それが自分の命を落とすことになったとしても、です。鞭打たれ、唾を吐きかけられ、な ぶり者にされても、十字架への道が御心と思えたからこそ進まれました。どんなに力があったとしても自分で自分を救うことはされませんでした。マイ·ルールとは、たとえできたとしてもしないことを選択する力、自己を制御し、あえて難しい方を選ぶ生き方なのだ と思います。マイ·ルールを破ると、自分が自分でなくなってしまう、だから誰が何と言 おうと守るのです。そしてこれを別名「軸」とか「信仰」というのだと思います。

 

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