礼拝メッセージ 6月2日(火)

2020.6.2

Soshin Jogakko

「前に向かって進もう!」

体育科 小澤 優子

こちらから讃美歌448番「み恵みを身に受くれば」を聞くことができます

【聖書】 フィリピの信徒への手紙 3章13-14節

兄弟たち、わたし自身は既に捉えたとは思っていません。なすべきことはただ一つ、後ろのものを忘れ、前のものに全身を向けつつ、神がキリスト·イエスによって上へ召して、お与えになる賞を得るために、目標を目指してひたすら走ることです。

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4月26日、今年の水泳部の一番大きな目標だったインターハイの中止が決定しました。その次の日、水泳部の高三の生徒が水泳部のclassroomに後輩たちに向けてメッセージを送りました。そこにはその生徒のインターハイ出場にかけてきた強い思いや『私達高三の夏は始まらないうちに終わってしまった。でも、みんなにはまだ来年があるということを忘れないで自分の目標に向かって真っすぐでいて欲しい』と後輩たちに託す願いが書かれていました。そのメッセージをきっかけに他の生徒からも、自分も大きな目標を失ってつらい、悔しい、悲しいといった高三の生徒に共感するメッセージがたくさん寄せられました。

そんな中、ある生徒が「自分は先輩たちとは違う思いです」という書き出しでメッセージを載せました。「今自分の中にある1番大きな感情は安心です。」と。その生徒はタイムが順調に伸びている先輩たちとは違って自分は調子が不安定で自分のせいでインターハイに行けなくなったら一緒に泳ぐ先輩たちはもちろん、応援してくれる沢山の人たちをがっかりさせてしまうと思っていたというのです。だからインターハイが中止になってこの思いから解放されて安心してしまっている自分がいる。そしてその時初めて抱えてきた思いを言葉にして、わけもわからず泣いているというものでした。

私はそれを読んで彼女がここで正直な気持ちを吐き出せて良かったと心からそう思いました。もしこのもやもやした思いをかかえたままで練習してもその成果は出にくくなったでしょうし、部活にいても後ろめたい気持ちでいづらさを感じながら過ごすことになってしまうと思ったからです。また、自分の気持ちを誰かに伝えたくても相手の反応が怖くて出来ないということは誰にでもよくある事だと思います。ましてや今回は自分だけが違う思いだとわかっていましたからその状況での告白はものすごく勇気のいることだったにちがいありません。それでも彼女が自分の気持ちを素直に伝えられたのは先輩たちを信頼していたからではないでしょうか。みんなとは違う思いの自分を受け入れてくれると信じられる関係が先輩と後輩のあいだに築かれていたことを実感でき教員の私にとってこれはとてもうれしいことでした。そしてうちあけられた上級生の方としても彼女は中学生の時から大会で華々しく活躍していて水泳には自信を持っていると思い込んでいたと思うので、強いと思っていた後輩が不安な気持ちを素直に自分たちに伝えてくれてうれしかっただろうと思います。そして先輩である自分がこの後輩の支えになりたいと思った上級生は多かったのではないかと私は思っています。

実際、彼女の正直な気持ちに対して高三の生徒からは『とってもわかるよ』『怖いとか不安とか誰でもあることだから安心したことは悪いことではないよ』『あなたのこと嫌いにならないよ』『あなたの気持ちがわかってよかった、ありがとう』などという言葉が返ってきました。そのことで彼女は先輩たちに気持ちを伝えて良かったと言っていました。そして私はこれで彼女がすっきりした気持ちで前へ進む事が出来ることになって本当によかったと思いましたし、この暗い状況の中、光が見えた気がしました。弱い自分をさらけだすことは結果、自分を強めることになりました。そしてチームの絆も一層強くなったと私は確信しています。

新型コロナウイルスの流行により、当たり前だった日常が当たり前でなくなりました。そして目標も夢も奪われる経験はできればしたくなかったのが本音です。でも後ろをふり返って嘆いてもそこからは何も生まれません。前を向いて進んでいきたいと思います。昨日から学校が始まりました。生徒の皆さんの声が校舎内に響き静まり返っていた学校に活気が戻ってきました。ここからまた皆さんと共に新しい気持ちで新しい目標に向かって希望を持って日々過ごしていきたいと思います。

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