礼拝メッセージ 7月2日(木)

2020.7.2

Soshin Jogakko

「小さな者と共に生きる」

中3担任 後藤由起子

こちらから讃美歌354番「飼い主わが主」を聞くことができます

 

【聖書】マタイによる福音書18章10節
これらの小さな者を一人でも軽んじないように気をつけなさい。言っておくが、彼らの天使たちたちは天でいつもわたしの天の父の御顔を仰いでいるのである。

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3月上旬に上陸した3つの台風は、勢力を強めながら我が家に停滞し続けました。時に雷や大雨を降らせながらいつまでこの様な日が続くのか、先の見えない毎日にただただ辛抱するしかありませんでした。仲良く遊んでいたと思ったら喧嘩、大粒の涙を流しながら訴える息子。外にも出られずボールが部屋の中を飛び交う状況に、母の雷が落ちるも数時間後にはケロッとまた楽しそうに遊んでいる。そしてまた喧嘩。お互いストレスのはけ口が見つからないまま1週間が経った時。子供たちに「この休校期間中だからやれる事、やりたい事はないか」と聞いたところ、次男が「犬が飼いたい」と言い出しました。その提案に長男も三男も乗っかり、子供たちで「どうしたら飼えるのか」の議論が始まりました。

数年前から犬を飼いたいと誕生日やクリスマスが来るたびにお願いされていましたが、共働きで土日も家にいないようなお家に子犬が来たら可哀そう。自分の事が自分で出来ないのに犬の面倒は誰が見るのかなど様々な理由で拒否し続けていました。そんな子供たちは今しかチャンスはないとばかりに、両親を説得するためのプレゼンテーションが始まりました。
始めにインターネットや本を見ながら犬を迎え入れるために必要なものや予算、飼いやすい犬種、飼い方やしつけの方法、何よりも今しか飼えない理由を書き出し、メモを取ってまとめ始めました。
今なら学校も無く自分たちで面倒が見られること、学校が始まっても半日授業なので自分たちでお世話が出来ること。何よりも父親がしばらく在宅での勤務が多いので安心であること。一ヵ月あればトイレトレーニングやお留守番のトレーニングをする時間も十分あるなど子供たちのプレゼンの熱意に押され、こちらも迎え入れる決意を固めました。しかしこのご時世、ペットショップに行って見つけることが出来ず、事前にネットを使って逢いたい子を予約するシステム。そこで出会った一つの命。実際に会っても気持ちは変わらず、一目で気に入ったトイプードルの女の子を見て、息子たちのスイッチが本格的に入り、この子を迎える為の準備を進めていきました。

5日後、我が家に来た救世主。この日から我が家の空気が一変しました。大きな声を出す事も、物が飛び交うことも無くなり、この子中心の生活が始まったとたん嵐が凪になったのです。皆がこの小さな者の為に何をするべきか、何が出来るかを考える生活。我々親の想像をはるかに超え、平穏な落ち着いた生活を過ごすことが出来ています。命を預かるという事に不安はありましたが、子供に押されて踏み出したことで不満ばかりの自粛期間にならずに済んだ後藤家です。いざという時こそ、見えるものがあり、再確認出来る事があると改めて自粛の期間があったからこそ感じられた事柄でした。

休校期間中、やりたい事も出来なくて、あれもダメこれもダメの生活で押しつぶされそうになった人も多いのではないでしょうか。私も知らず知らずどこかで「早く平穏な生活に戻りますように、どうか助けてください」と叫んでいたのでしょう。今まで余裕がなく、聞き流して済ましていた私ですが、時間をかけてじっくり話を聞き真剣に向き合う事の出来た時間は私には貴重な時間となりました。自分の力で生きていく事の出来ない小さな存在が我々家族の宝となり、これからもずっとずっと愛されますように。

 

 

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