図書館だより 5月30日(土)

2020.5.30

Soshin Jogakko

杉山先生から是非皆さんにと、本の紹介が届きました。

『アルジェリア、シャラ通りの小さな書店』カウテル·アディミ 作品社

「1960年4月9日
ここは恐ろしい場所だ。外出しないよう言われるが、もちろん働かなくてはならない。外出を控えるよう新聞で書く連中は、僕らがどうやって生活費を稼ぐと思っているのだろう。」

エドモン·シャルロの手帳のこの1節を読んだとき、ぎょっとしました。
ちょうど60年後の今、新型ウイルスで命を落とさなくても経済で亡くなる人がいるかもしれない状況だからです。

60年前の外出禁止令は、アルジェリアの独立戦争のさなか、フランスに住むアルジェリア人に対して出され、パリ警察による虐殺も起きたそうです。
エドモン·シャルロはアルジェリア生まれのフランス人で、21歳のときアルジェに書店兼出版社を開き、今話題の『ペスト』を書いたアルベール·カミュを世に送り出した実在の人物です。

〈真の富〉と名付けられた店には「若者の、若者による、若者のための」という看板を掲げ、激動の時代に命をかけて本を愛しぬきました。

著者はアルジェ生まれの女性作家。この作品は現代の大学生(読書嫌い!)のエピソードが挟み込まれている巧みな構成で、「高校生のルノドー賞」をはじめ、いくつもの文学賞を受賞しました。フランスの高校生に選ばれた作品なので、ぜひ捜真生にも読んでほしいです。

 

 

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