図書館だより 5月27日(水)
2020.5.27
Soshin Jogakko
『希望という名のアナログ日記』角田光代 小学館
石黒先生が注文された本ですが、本屋さんから届いた箱をひょいと覗いてみたら、なんとも魅力的な題名に手が伸びてしまい、一気に読んでしまいました。(先に読んでしまってスミマセン石黒先生)
表紙は『100万回生きたねこ』の作者、佐野洋子さんの装画。木の枝に足をかけさかさまにぶら下がった子どもはいったい誰でしょう?周りの鳥や犬やカエルがにぎやかに画面に収まっています。
目次を開いてみると、
Ⅰ<希望を>書く Ⅱ旅の時間·走るよろこび Ⅲまちの記憶·暮らしのカケラ
帯に「作文の得意な少女は作家になる夢を追いかけた」とあったので、小学生時代のお話が書かれているかなと想像しましたが、Ⅰには、みなさんが「これって、もしかしてここの教室?」と思える箇所が出てきます。Ⅱには、旅やマラソンなど自分の時間に感じた思いがさらりと書かれています。みなさんも同じように感じたこと、あるかもしれません。Ⅲには(中高生にはもう少し先の風景かもしれませんが)私には「そう、それだよ」と思っていたけれど言葉にするとこうなのね。と、すとんと納得できる文章が書かれていて、読んだ後に「一緒だね」というほっこりとした気持ちになりました。
言葉は不思議ないきものだと思います。乱暴に使って傷つけることもできるし、優しく慰めることもできるし、角田さんのように読者の気持ちを代弁して共感させることもできるし。
「目の前しか見えていない。」とおっしゃる角田さんですが、その目の前を切り取ったアナログな画面が特に今、魅力的です。
ところで、あなたはどのように言葉を使っていますか。私はどうやって使っているかしら。