図書館だより 5月13日
2020.5.13
Soshin Jogakko
『コロナの時代の僕ら』 パオロ·ジョルダーノ 飯田亮介訳
早川書房
笠原先生、小田切先生が薦めてくださった一冊を紹介します。
イタリア人の作家、ジョルダーノ氏。物理学を学んだのち、26歳で小説家としてデビュー。デビュー作の『素数たちの孤独』はイタリア国内で多くの文学賞を受賞。
そして、今回紹介するこの本は、コロナウイルスの感染が始まったイタリアで、今年2月29日から書き始めた27のエッセイ。
彼の小説の翻訳を手がけた飯田氏が翻訳をしている。日本語としても読みやすく、中学生にもお薦めできる。
文章はどちらかというと、淡々と静かで、そのたとえや短いフレーズがかえって丁寧な観察眼を感じさせる。コロナウイルスの感染が刻一刻と広がっていく現場での記録が、緊張感を伝える。読んでいる途中で、普段この人は何を見てどんなことを感じ考えているのだろうかと知りたくなった。(ジョルダーノ氏の動画検索をしてみたが、残念ながらイタリア語であった)
いまだ感染症流行の渦中で、「コロナウイルスが過ぎたあとも、僕が忘れたくないこと」として末尾をしめくくっている。100ページ強の本だが、これからの私たちの生活に多くを示唆している。