図書館から本の紹介 4月3日

2021.4.3

Soshin Jogakko

『寿町のひとびと』山田清機 朝日新聞出版

今日、図書館の本を購入するため書店に行ったところ売り場のあちこちにこの本が平積みされていました。近くには新聞や雑誌の記事が貼ってあり、とても目立っていました。
それもそのはず、伊勢佐木町にあるその書店から、寿町までは徒歩10分弱。まさしく地元の本なのです。そして、捜真生が炊き出しでお邪魔している寿町に暮らしている人たちの人生が紹介されています。
昨年はコロナの感染拡大でお邪魔することはできませんでしたが、寿町には日本で初めて平仮名新約聖書を印刷したネイサン·ブラウン先生がいらした日本バプテスト横浜教会があります。その牧師をされ、寿町のひとびとと共に歩まれた益牧師の人生については最後の章で紹介されています。そして、ここに登場する「ひとびと」を筆者の山田さんは丁寧に取材をしながら描いていきます。
一人一人の人生と命に寄り添い、名誉や富からは程遠い人生に向き合う。一人一人の人生に意味を見出し、世に出そうとする著者の思いが熱く伝わる一冊でした。
炊き出しに行ったことも、時間がたつにつれて遠い話になってしまいがちですが、寿町で感じた空気はこの本を読めばすぐによみがえってくると思います。記憶として忘れてしまったとしても経験は残ります。本の最初のページにとじこまれた地図を指でなぞってみてください。
自分とは違う人生にも意味があると教えてくれたのは、どなただったでしょうか。

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