【PTA活動】バザー委員会~受け継がれる捜真人形~

2023.9.6

Soshin Jogakko

捜真女学校には、母たちの手によって代々製作され受け継がれている「捜真人形」というオリジナルの手芸品があることを、皆様はご存じでしょうか。毎年捜真祭で販売されているこの人形は、バザー委員によって1つ1つ丁寧に手作りされており、どれ1つとっても同じものはありません。今回はこの捜真人形についてバザー委員の皆様と、バザー委員経験者の保護者OG有志によって構成されている「ばあやの会」の皆様に、お話を伺ってまいりました。

捜真人形は製作が始まって以来、毎年バザー委員が40体から多い時は80体ほど製作した年もあるのだそうです。人形をご覧いただくとお分かりいただけますように細かいフェルトのパーツを組み合わせて作られており、準制服のスカートのチェック柄なども見事に表現されています。(販売は正制服スカート·高校準制服スカートの2パターンのみ)手間がかかるため大量生産できず、毎年限られた数しか販売されない大変貴重なアイテムです。

バザー委員は年間を通じて、おもに捜真祭とクリスマス礼拝·祝会で販売する手芸品の製作、聖書·讃美歌カバーの製作·販売をしていますが、それだけでもかなりの時間を要します。中でも捜真人形は特に、パーツが細かくたくさんあることや、制服をモチーフとしているため一般的な手芸品と異なることから製作にあたっては経験者の手助けが必要です。そのため2013年頃からは、技術の伝承と製作アドバイザーとして「ばあやの会」の皆様がご協力くださっています。

ばあやの会の皆様は担当学年がすぐに作業に取りかかれるよう、あらかじめ製作に必要なパーツを入れたキットを作ってくださいます。今年度は2学年が捜真人形の製作を担当していますが、バザー委員会活動日には製作に慣れたばあやの会の方が担当学年のテーブルにつきご自身も一緒に製作をしながらサポートしてくださっています。初心者でも分からない点をその場で聞いたり、教えていただいたりしながら製作できるため大変心強い存在です。人形製作の様子を拝見していると、長年の製作経験者にしか分からないようなちょっとしたコツやポイントがありそうだなと感じます。今回初めて捜真人形を製作されるバザー委員の方は、「身体部分の綿の詰め方が難しい」「髪の毛の長さをどうしましょう」などと初めは戸惑いながら製作されていましたが、製作を重ねていくうちに少しずつ要領がつかめてきたとお話されていました。製作に慣れた方ですと1体を驚くほど速いスピードで作れるようになるのだそうです。

コロナ禍ではPTAの集まりができない期間もありましたが、ばあやの会の皆様を中心にキットを自宅に郵送し、手分けして熱心に製作を続けてくださいました。この時期には特別に、マスク姿の捜真人形も作られていました。困難な状況の中にあっても希望を持ち、懸命に前進し続けた捜真生を象徴する特別な人形となることは、間違いありません。

人形の仕上げには頬紅を使い、顔に血色が足されていました。本物の頬紅を使うことに驚いたと同時に、ポンポンと頬が色づくと不思議なことに人形が温かみを増し、にっこり生き生きとしていくように感じました。こうして丁寧に手をかけて作られた捜真人形たちは綺麗にラッピングされ、捜真祭で手に取ってくださる方の元へと旅立っていくのです。

今回の取材中に、あるバザー委員の方が「娘が小学生時代に捜真祭で購入した、昔の準制服バージョンの捜真人形を持っていますよ」と見せてくださいました。ブレザーからのぞくピンクのシャツとスカートの柄が、現在は廃止された旧準制服のデザインだということが分かります。制服をフェルトで表現することはとても難しく手間のかかる作業ですが、この捜真人形はただの手芸品として存在するだけでなく、時が経ってこうして、捜真の歴史や伝統をも伝える大変貴重な作品なのだと肌で感じることができました。

捜真人形のこと、バザー委員の皆様の手芸品のこと、取材ではそれらを記録し紹介するためにたびたびお話を伺ったり写真を撮ったりしていました。ですが振り返りながらこの記事を書いていると、委員の皆様が色々なアイデアを出し合いながら手芸品を作られているその表情や伺うお話の中には娘を思う温かい母の気持ち、娘が通う捜真を愛する気持ちが常に存在していたことに気づきました。皆様お忙しく慌ただしい日常生活の中にあって、ご自分の時間をご奉仕にあてることは決して簡単なことではありませんが、委員の仲間との会話に癒されながら手芸と向き合う和やかな時間が、ここにはあるのだなと感じました。同じく忙しそうに、時に悩みもがきながらも中学·高校生活を一生懸命に送っている娘たちとともに、この平和に感謝しつつ母としての捜真での生活を大切に噛みしめて過ごしていこうと思いました。
作業がお忙しい中、いつも快く取材に応じてくださったバザー委員の皆様、ばあやの会の皆様に心から感謝申し上げます。9月22日(金)·23日(土·祝)に開催される2023年度捜真祭では、201教室にてバザー委員の皆様が心を込めて作られた素敵な品物を販売しております。ぜひお越しくださいませ。
(広報委員 中2)

※2023年度捜真祭のご来場方法は、別途ホームページ内にご案内しております。必ず事前にご確認の上ご来場いただけますようお願い申し上げます。
※2022年度広報委員の活動でも、前理事長である横山茂先生にご自身の購入された大切なお人形と共に貴重なお話を伺っておりますので、あわせてご覧いただければと思います。

山前理事長へのインタビュー記事はこちらから

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