【PTA活動】広報委員会 捜真画廊 第一回

2023.2.22

Soshin Primary School

捜真の校舎内には、絵画·彫刻作品があちらこちらに飾られています。来校した際、目的地にたどり着くまでに気づかれる方も多いことでしょう。実は、その絵画や彫刻作品のほとんどが捜真で実際に生徒に美術の指導をされていた先生方の作品であること、またその先生方は日本を代表する日本画家、院展に何度も入賞されるような画家であることをご存じでしょうか。捜真の生徒たちは、日常的に、このような素晴らしい芸術家の思いや息吹を感じられる芸術作品に囲まれ、学んでいるのです。

今回は、この捜真にある数々の美術品について生徒の皆様はもちろん、ぜひ保護者の皆様にも知っていただきたいという思いから、「捜真画廊」と題して横山茂理事長、中島昭子学院長、小田切恵子先生(日本画家·課外美術講師、旧美術教員)のお三方より、お話を伺う機会をいただきました。その様子を、3回に分けてお伝えします。

第一回 

―先生方のお好きな作品とその理由を教えてください。また捜真の歴史にゆかりのある作品がありましたら教えてください。

横山理事長:会議室に飾られている《風景》です。これは当時(戦前)の校舎がわかる貴重な絵であります。捜真の校舎があまりにも珍しく綺麗なため、それを描くためにわざわざ引っ越して来られた方もいらしたと聞いています。同窓会で以前に作られた絵葉書にも、もしかしたらその方が描かれたのではないかと言われる作品が入っています。横浜大空襲の際、当時の校舎や学校の中のものは全て焼かれてしまいましたので写真類は戦後に集められたものしか存在しません。中でも旧校舎の写真は少ないので、これは捜真の歴史を感じる事が出来る貴重な絵です。

―小田切先生はいかがでしょうか。
小田切先生:森田曠平先生(日本画家·旧美術教員)の3枚の絵《御嶽朝暉》、《千葉勇先生》、《ひと花ごころ》です。私は森田先生の紹介で捜真に来ましたので、先生の作品を見ると励まされ、頑張らなきゃなという気持ちになります。先生の娘さんの祐子さん、綏子さんの彫刻や絵画も好きです。学校内にここまで色々な作品が色々並んでいる学校は他に見たことがありません。生徒たちにとっては通りすがりにあるということです。でも、そういうものに囲まれているという事は、無意識のうちに心が豊かになります。

―わざわざ美術館に行かずとも、校内で実際に見られるということはすごいですね。
小田切先生:授業では校内美術巡りを考案しました。そこで森田先生の《御嶽朝暉》の山の絵をみた生徒から「この絵はなんだかぶつぶつしている、面白い。」という感想が出たことがありました。実はこの絵は岩山を表現するために、岩絵の具(鉱物を使った絵の具)で描かれていたので、生徒が実物を見て「絵は平らではない」ということと、絵の具に含まれる鉱物の輝きや凹凸に気づいたのです。画集や映像で見ると色しか分からないですが、本物を見るとこのような発見がある。本物を見て、触って、感じて、においを感じたりすることを美術の授業では大切にしてきました。

―中島学院長はいかがですか。
中島学院長:素敵な作品はたくさんありますが、わたしのお気に入りの作品は、小田切先生の《聖夜》です。事務所の横に飾っています。クリスマスはアジアで起きた出来事なので、ヨーロッパで描かれている素敵な油絵もたくさんあるけれど、これを日本画で描いたら素敵だろうなとずっと思っていましたので、小田桐先生にお願いし描いていただきました。よく見ると色々な生き物が描かれていますが一番小さな生き物は何だかわかりますか?(※こちらは実際に絵をご覧になり、探してみてくださいね!)生徒にも聞いてみたことがあります、一生懸命に探して見つけていましたよ。

―歴史的に学校と関係のある作品はありますか?
中島学院長:2つあります。1つは牧野伸英先生(日本画家·前捜真小美術教員)の《藤棚》です。捜真の校内にあるもので、いま130年以上の歴史があるものは実は藤棚だけなのです。この藤棚は学院発祥の地、山手から運びました。同じ牧野先生の作品《百年桜》もそうですが、どうしても学校の歴史を記憶に留めるために藤棚の絵は欲しいと思いました。もう1つは、小倉遊亀先生(日本画家·文化勲章受章者·旧教員)デザインの《捜真女学校の校旗》です。入学式や卒業式でチャペル壇上に飾られるのですが、戦前から同じデザインのものがありましたが、戦争で燃えてしまいましたので現在の校旗は、戦後小倉先生にお願いして再度作成したものです。歌舞伎座の緞帳などを作っている京都の川島織物製です。これは普段応接室内にありますが、本当はもっと皆さんに見て頂きたいものです。中高時代までは、教科の勉強だけでなく、音楽や美術に関心を持つことで心が豊かに成長すると思います。そのためにパイプオルガンもあるし美術作品もある、都会の中にありながら校内には自然豊かな庭に花が咲いているというこの環境にいられることは、情操教育のために良いのかなと思います。

次回、第二回につづきます。

(広報委員 中1·中3)

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