図書館から本の紹介 2月15日

2021.2.15

Soshin Jogakko

登校、在宅学習と落ち着かない日々ですが、最近高校生が新書を借りに来ることが多く、自分の
引き出しを増やしていってくれたらなと、一人一人のリクエストに合わせた選書をしています。
「比較文化」について書かれているものはないか。とレファレンスされることがよくあり、出来るだけ新しい情報を届けたいと思っていたところに、この一冊をみつけました。

『たちどまって考える』ヤマザキマリ 中央公論新社

漫画家で文筆家でもあるヤマザキさん。高校の途中からイタリアに渡り美術の勉強を始めたというタフな方です。
この本では、昨年から感染拡大しているコロナに関してのイタリアと日本の対応の違いや、両国の歴史、文化、思想の変遷をたどり、今日本で起きていること、今すべきことがズバッと書かれています。一気に読まされてしまうほど、ヤマザキさんが今まで溜めていた思いが次から次から書かれていて、「比較文化」について興味のある人に、是非読んでいただきたい。

「特定の宗教的拘束のない社会で生きる私たちは、倫理観を一体どこから学んでいるかというと、それは『社会』と『世間体』だと思われる」「今まで表に出てこなかったものが、パンデミックによって剥き出しになっている」「自らもコロナ禍の中で生きる一人の市民としての脳で考える姿勢は、政治家にとって不可欠」「世の不条理と向き合うことで、募る悲しみや怒りを浄化させる。そういった意味でも、文化に携わるのは大切」「これまで見過ごしてきた物事を落ち着いて考え、またじっくりと、それまでとは違った角度からも見つめなおす」他にもたくさんの示唆にあふれた言葉がみつかります。

津田塾大学の講演会でお話をされたり(1月29日に終了)、六本木アートカレッジでディレクターとして多彩なゲストと対談をされたり(3月9日)、旬な活動もされています。ヤマザキさんの動向に今後も注目です。

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