礼拝メッセージ 1月25日

2021.1.27

Soshin Jogakko

「勉強したその先」

宗教主任 高一担任 藤本 忍

【聖書】イザヤ書35章1節~2節

荒れ野よ、荒れ地よ、喜び躍れ/砂漠よ、喜び、花を咲かせよ/野ばらの花を一面に咲かせよ。
花を咲かせ/大いに喜んで、声をあげよ。/砂漠はレバノンの栄光を与えられ/カルメルとシャロンの輝きに飾られる。/人々は主の栄光と我らの神の輝きを見る。

 

イザヤ書43章19節~20節

見よ、新しいことをわたしは行う。/今や、それは芽生えている。/あなたたちはそれを悟らないのか。/わたしは荒れ野に道を敷き/砂漠に大河を流れさせる。
野の獣、山犬や駝鳥もわたしをあがめる。/荒れ野に水を、砂漠に大河を流れさせ/わたしの選んだ民に水を飲ませるからだ。

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仕事柄、教会員以外の方のご葬儀の司式を引き受けることがあります。ご葬儀と言えば、通常は納棺式、前夜式、告別式、火葬式、納骨式と五回執り行われるものなのですが、昨年は火葬式だけを依頼されることがありました。火葬場に行き、讃美歌を歌い、祈りを捧げ、祝祷をしてお見送りをしました。五分程でした。ご遺族三人だけで行われ、召された方がどのようなお人柄でどのような人生を送られたのか、全くわからないご葬儀は初めてで、そして寂しいものでした。

昨年の二月末、コロナの影響で学校が休校になってから、間もなく一年が経ちます。この一年を振り返ってどう思いますか。高二は特に捜真では「華の高二」と言われていただけに、一番辛かったのではないでしょうか。「私の高二を返せ」と私の姪っ子もよく言っています。部活だけでなく、修学旅行、文化祭、体育祭と、ありとあらゆる行事が全て消えてしまって、こうなると、もう期待というものをしなくなるのではないでしょうか。また、一方では、かなり早い時期から切り替えられた人もいたのではないですか。
結果的に、やりたいと思っていたこと、やろうと思っていたことが出来なくて、そのエネルギーを今年はどこに向けましたか。勉強を始めた人も多くないですか。最初はある種の「逃げ」で始めた勉強も一山越えて意外と面白くなっている人もいると思います。やらされていた勉強が、今ではやりたくてやっていると言う人も多いと思います。コロナ禍でも将来に夢を持ち、自分の生き方にプライドを持って、納得して勉強している生徒が今年は増えた気がします。

先日たまたまTVをつけていたら、「林先生の初耳学」という番組がやっていました。ローランドとの対談でした。ローランドは「大学は空港だ」と言っていました。「行き先がわからない人は空港には行かない、行き先がわかっている、やりたいことがある人が行く」と言っていました。そして「僕は成功や結果よりやりがいを追究したい。たとえ目の前に負傷したシマウマがいても、それを襲わないライオンでいたい。勝ち方には拘りたい」とも言っていました。それに対して林先生は「そうやってやりたいことがある人はいいけど、ない人はどうすればいいの?」と聞き、続けて「僕はやりたいことに拘っていない。」と言いました。「全ては偶発的だと思っている。置かれた環境にたまたま入ってきた情報によって導かれる。今の仕事もやりたいからやったというより、『いつやるの、今でしょ』がバズって、偶然導かれてここにいる。」主体的に生きるローランドと受動的に生きる林先生、私はどちらにも共感しました。

そして、もう一人、皆に知って欲しい人がいます。それはアフガニスタンに医療活動に行って、最期はテロリストの銃弾に倒れた中村哲さんです。彼は蝶が大好きで、大変珍しい蝶がアフガンにいると聞いて現地に赴きました。しかし、干ばつが続き、子どもたちは治療しても治療しても悪化して死んでいくばかりでした。彼は言います。「医者が100人いても救えない。でも一本の水路があれば命を救える」と。そして彼はゼロから土木工学を学び六年かけて25km先の山から水路を引くことに成功しました。私が彼を尊敬してやまないのは、彼がこれまでの自分のスキルに拘らず、目の前の一人の命を救うために自分を変えることができたという点です。本当に勉強をした人というのは、自分のスキルに縋りつかず、こうやってまた一から別の分野を学び始めることができる人なのかもしれないと思いました。神様はそういう人に力を貸して下さる方です。事実、砂漠に水が流れ、花が咲いたのです。

今、皆が学んでいることが将来どのような形になっていくかなんてわかりません。しかし、自分を創造してくれた神様を信頼して最善を尽くしたいと思いませんか。なぜなら、人生の終わりなんて私たちには何もコントロールできないのですから。生きているときだけです。自分の命を何かに使える(仕える)のは。

1月25日(月)全校礼拝

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