礼拝メッセージ 6月17日(水)

2020.6.15

Soshin Jogakko

「6月のワンピース」

高三副担任·進路指導委員長  稲川さつき

 

こちらから讃美歌243番「ああ主のひとみ まなざしよ」を聞くことができます

 

【聖書】ヨハネの手紙一 2章7節~8節
愛する者たち、わたしがあなたがたに書いているのは、新しい掟ではなく、あなたがたが初めから受けていた古い掟なのです。この古い掟とは、あなたがたが既に聞いたことのある言葉です。

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「ステイホームの今だからこそ日頃後回しにしがちな『片付けをしよう!』」と考える日本人は随分と多かったようです。(コロナによってステイホームをしたのは日本だけではないのに、これだけ片付けに勤しむ国民は日本人以外にあるのだろうか……。)と、溢れ返る古着でパンパンの倉庫を前に語る古着回収業者の苦悩を報じるニュースを見て、ぼんやりそんなことを思った時がありました。

「断捨離」とか「ときめき」とか、とにかく日本人は「片付け」が大好きなようです。今やちょっとした書店には「片付け」というコーナーさえ見かけます。そして「片付け」に付随して「ミニマリスト」という単語も最近よく耳にするようになりました。

以前、たった一度だけでしたが、YouTubeで片付けに関する動画を視聴したためでしょうか、ミニマリスト関連の動画がいまだに配信されてきます。ついつい視聴してしまうこともあり、その度ごとにミニマリストの方々、実に思い切りがよく、モノにおさらばしていて、世の中にはこんなにも潔い人達がいるんだなぁとつくづく感心してしまいます。

「一年以上着なかった服は手放すタイミング!」
よく聞くフレーズです。私も半世紀以上の齢を重ねてきましたから、それなりに若い時に着ていた服を処分してきたつもりなのですが、それでも実は手放せない服がいまだに数点手元にあります。
その中の1着があるブランドのアジサイを思わせる花柄のパフスリーブのワンピース。ムシムシし始める今頃は通気性の良さからつい手が伸びてしまうのがワンピース。このワンピースは涼しげな柄とよく人から「似会っている」と褒められることもあって、6月の今頃は本当によく着ていました。ただ単純に好きな服だっただけではなく、このワンピースは私にとって若かりし頃の思い出がたっぷり詰まった、いわば「勝負服」でもありました。

捜真の暦で6月と言えば「合唱コンクール」チャペルに冷房のなかった時代、初めて担任を持ったクラス中3D。「親知らず子知らず」で優勝時に着ていたのがこのワンピース。それ以来、中3「月のうさぎ」、高三(高62)「なぎさの地球」、高三(高65)「いのち」と4回の優勝。中3、高三学年では優勝もしくは入賞という実績でした。

国語科の先輩の先生から「審査を待つ時間の間、トイレで祈るといいわよ。」と言われ、必死で祈った当時の私。祈りすぎて肝心の審査発表の時に遅れてしまったことさえありました。傍から見れば「バカみたい」と一笑に付されてしまいそうなエビソードですが、ワンピースを見るたびにこみあげてくる私の思い出です。

コロナをきっかけにものすごい勢いで、江戸から明治の変化以上の波に今、まさに遭遇しているんだろうなぁという感覚はあるものの、つい「昔を今になすよしもがな」と思ってしまう私。
以前、別の国語科の先輩の先生から頂いた年賀状に「思い出を宝物のように抱きしめております」という言葉がありました。休校期間中、思いがけなくも卒業生から手紙やメールをもらいました。その時、思ったのです。「思い出は過去だけではなく現在も創り続けられている」と。

変化の中にあっても「人が人を思いやる心」だけはいつまでも、いつまでも失わないでいていって欲しい――と、クローゼットの奥深く再びワンピースをしまい込んでしまいました。

 

 

 

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