礼拝メッセージ 6月18日(木)

2020.6.15

Soshin Jogakko

「今、私たちにできること」

養護教諭  川崎 彩水

こちらから讃美歌265番「世びとの友となりて」を聞くことができます

 

【聖書】ペトロの手紙 一 3章10節~11節

命を愛し、幸せな日々を過ごしたい人は、舌を制して、悪を言わず、唇を閉じて、偽りを語らず、悪から遠ざかり、善を行い、平和を願って、これを追い求めよ。

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久しぶりに学校が始まりました。長い自粛期間を経て、徐々に日常生活が戻ってきましたね。 3か月ぶりに聞く皆さんの明るい笑い声は、保健室にもよく届いています。

さて、学校が再開するまでの期間を、皆さんはどんなふうに振り返っていますか?「コロナの前と後」という言葉をよく耳にしますが、今回の出来事は皆さんの人生にどのような変化をもたらしたでしょうか。外に出て人に会えない分、メディアを通して知る日本中の動き、人々の思い、遠く離れた国や政治の様子などが、いつも以上に身近に感じたのではないでしょうか。逆に、今まで毎日一緒にいた友達が、会えない分とても遠くに感じられた人もいるのではないでしょうか。

私もそのひとりです。外出をして自分の目で確かめられない分、家族や友達のこと、特に私の前の職場の同僚で、今も看護師として働いている友人のことを思うと、居てもたってもいられない日々が続きました。そして、あちらこちらで広がる不満の声を耳にするたびに、なんだか気持ちが落ち込んで、ニュースに耳を傾けることも嫌になってしまった時期がありました。大切な人を自分の手で支えられないことが本当にもどかしく、「何もできない自分」に落胆してしまった時期もありました。

そんな憂鬱な気持ちを吹き飛ばしてくれたのは、自粛期間中、以前の同僚と久しぶりに電話をした時のことでした。

彼女は私の大学生の時からの友人で、今も看護師として大学病院で働いています。ニュースでは、医療従事者の過酷な勤務状況が取りあげられていた最中だったので、彼女が心身ともに疲弊し、緊迫した様子だったらどう励まそうと、少し不安に思いながらも電話をつなぎました。

ところが、拍子抜けするほど、彼女は変わらず元気で明るく、忙しい中でも落ち着いていました。私が、思わず、「コロナの事、大変でしょ?」と尋ねると、「まあね。でも、コロナの患者さんであっても、そうでなくても、私が今できることは一緒だからね。目の前の患者さんの命は、全員同じだから。」と返答がありました。

きっと、少ないスタッフで業務を回し、見通しが立たない忙しい日々を送っていたはずです。それでも不満を口に出さず、今自分にできることにまっすぐ向き合う彼女はとても素敵で、私もこうなりたいと思ったと同時に、ここ最近の私は、「自分ができないこと」ばかりにとらわれて、「今私にできること」を見失っていたのだなと気づかされました。まずは私にもできることを捜してみよう、そう思い直すことができたことは、私が大切な友達を通してコロナから得たものだと思います。

今日の聖句は、最近私がよく思い出す箇所です。捜真生である皆さんは、隣にいる誰かをホッとさせてあげられる優しい言葉や笑顔を沢山知っていると思うので、こんな時だからこそ、誰かのためにその力を使ってほしいなあと願っています。

 

 

 

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