礼拝メッセージ 7月7日(火)

2020.7.5

Soshin Jogakko

「ある女流作家の推理小説から……」

                          中2副担任 日浦華子

こちらから讃美歌79番「ほめたたえよ つくりぬしを」を聞くことができます

 

【聖書】エフェソの信徒への手紙4章32節~5章1節
互いに親切にし、憐みの心で接し、神がキリストによってあなたがたを赦してくださったように、赦し合いなさい。あなたがたは神に愛されている子供ですから、神に倣う者となりなさい。

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こんな推理小説があります。有名な女優が田舎の村に引っ越してきて、パーティーを開きますが、招待客の女性が殺されてしまいます。その女性は、有名女優が飲むはずだった飲み物を飲み、そこに入っていた毒によって死んでしまったのです。有名女優をねらった殺人事件として村は大騒ぎになります。(···ここからはネタバレになってしまいますが)

パーティーの場で、殺された女性は自分がいかに女優である彼女のファンであるかを楽しそうに話します。そして、昔、医者が止めるのも聞かずに当時入院していた病院を抜け出して、女優に会いに行ったことを自慢げに嬉しそうに話すのです。そして女優はそこで理解します。実は女優の子供は重い障害を抱えていて施設で育てられているのですが、その障害の原因が、今、目の前で嬉しそうに話しかけてきている女性であることを。当時、妊娠していた女優に、風疹で熱が出ているのにもかかわらず、医者に止められているにもかかわらずに接してきた女性によって子供に悪影響が出てしまったのです。

女優に殺意が生じます···。という内容ですが、新型ウィルス感染対策の今だからか、このお話が思い出されます。
「うつさないように」「うつらないように」、目に見えない感染という現象に細心の注意を払っている世の中です。お互いがマナーを守ることが当然のこととなると、危機意識のない無防備な行動をしている人を見てハラハライライラすることもあります。

でも、逆に気づかないうちに自分がほかのひとを傷つけていることって山のようにあるのではないでしょうか。先ほどの推理小説に出てきた、悪意なき、空気の読めない女性に向けられた殺意というほどのレベルでなくても、知らないうちに誰かを悲しませているということはあり得ることです。
その気がなくても罪をつくって生きているのが私たちです。それでも、赦されて生かされているのですね。

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