礼拝メッセージ 5月28日(木)

2020.5.28

Soshin Jogakko

「狭い門から入りなさい」

中1学年主任  佐々木 広

 

【聖書】マタイによる福音書7章13節~14節

狭い門から入りなさい。滅びに通じる門は広く、その道も広々として、そこから入る者が多い。しかし、命に通じる門はなんと狭く、その道も細いことか。それを見出す者は少ない。

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ゴッホという画家を知っていますか?

ゴッホの代表作「ヒマワリ」の1つが日本にある、というのは有名な話です。安田海上火災という会社が、1987年に58億円で競り落としました。

ゴッホは37歳という若さで死にましたが、死ぬまでの約10年間で、860枚の油絵を描きました。しかし、生きていた時には、彼の絵はたった一枚しか売れなかったそうです。

もしもゴッホの生涯を「勝ち」「負け」で判定するとしたら、あなたはどっちだと思いますか?生きているときに絵が売れたかどうかを基準とするならば、「負け」かもしれません。

では、ゴッホ自身はどう思っていたのでしょう。

「10年間で860枚」を単純計算すると、4日で1枚というハイペースで絵を描きあげていたことになります。絵が売れないことを気にしていたら、そんな風に描く意欲がわいてくるか。たぶん無理だと思います。

ということは、ゴッホは売れるかどうかを自分の基準にしていなかったことになります。そして、そこがゴッホのすごさだと思います。

世の中の評判や評価ではない、もっと次元の違うことを自分の基準にしていたから、ゴッホにしか描けない独自の画風を確立できたわけです。

私たちは、周りの評判や評価が気になって、周りに受け入れられることを優先してしまいがちです。でも、そうした生き方は、勝っているように見えて、実は負けているのかもしれません。そういう生き方は、他人の人生になってしまっていて、自分の人生を生きていないのです。そんなことを、ゴッホの人生から考えさせられます。

さて、あなたは、世の中の多数派でいたいと考えますか?

今世界は、ウィルスの感染拡大によって大きな混乱と不安の中にあります。

何が正しいのか、どうするのが正解なのかわからない、そんな混乱の中で生きていると、私たちは「拠りどころ」がほしくて、自分で考えるより先に、周りに情報と基準を求めます。そしてテレビでニュースを見たり、インターネットで検索したりします。

しかし私などは、ニュースを見て、たとえば「ある学校がこんな最新の方法をとりいれて成功している」などの情報に触れると、「拠りどころ」を得るどころか、かえって不安になります。「自分は競争に乗り遅れ、脱落してしまうのでは」と。そして不安に負け、「乗り遅れてはいけない」という「思考停止」の生き方に流されてしまうのです。

今日の聖書の言葉は、狭き門から入れ、と言っています。なぜイエスはそう言ったのでしょうか。

周りを見て、皆がこうしているから私もそうしなきゃ、という生き方では、真に価値のある、「いのち」に至る道を見つけることはできない、ということだと思います。

「私の人生」にとっての価値は、多数決では決められません。自分一人になってさがし求めていくしかありません。それは孤独な作業ですが、その孤独に耐え、自分1人しか通れないような、自分の「狭い道」をさがし求めなさい、とイエスは言っているのだと思います。

お祈り

今日もともに、礼拝の時間をもてたことを感謝します

自分の人生にとって最も大事なものは、人と同じではないはずです。しかし、私たちは、周りと同じであると安心し、大事なものが何か、考えることをやめてしまいがちです。

一人になって、静かに聖書の言葉と向き合い、自分と向き合う時間をつくることができますように、私たちを導いてください。

悩みの中にある人、体調がすぐれない人、苦しみの中にある人を、あなたが守り、いやし、励まして下さい。イエス·キリストの名によって祈ります。

 

 

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