図書館から本の紹介 8月19日

2020.8.19

Soshin Jogakko

短い夏休みでしたが、メリハリをつけて、過ごせたでしょうか。
暑さや感染症対策で、外出もままならなかったので、再び読書三昧の日々を過ごしました。その中から何冊か紹介します。

『いのちの停車場』南杏子 幻冬舎
救命救急センターの副センター長、白石咲和子。ある日、許容範囲を超えた救急外来を受け入れたことの責任を問われ、その職を引くこととなった。
実家のある金沢に戻り、救急医とは全く違う在宅医療に携わる幼馴染、仙川に乞われその仕事に臨むが…。
若い人にはまだピンとこないかもしれませんが、肉親を見送ったり、残された時間を意識するようになると、自分の生き方を考えることが多くなります。私も母の最期を緩和ホスピスで看取った経験があったため、この本を手にとりました。
「命」の価値は人それぞれだと思いますが、自分の命の終わりを娘の手に託すことを望んだ咲和子の父に、胸をギュッとつかまれる思いがしました。
今この一瞬を生きることを大切にしたいです。

 

『生き物の死にざま』稲垣栄洋 草思社 
著者の稲垣氏は52歳(まだお若い!)。専門は雑草生態学。
たくさんの著書があり、最近図書館でも何冊かを購入しています。
私たちの身の回りにいる、生き物たち。そこには人と同じ命があります。この本ではその命の終い方が紹介されています。
「ハサミムシ」その卵はかえるまでに40日以上。長ければ80日 かかることもある。母親はその間ずっと卵を守り続ける。しかし、幼虫は母の体を食べ尽くし、母は命を終える。さて、母親はそれを幸せと感じるのだろうか。
「ベニクラゲ」クラゲが地球に出現したのは5億年前。大昔から命をつないできたクラゲだが、中には不老不死といわれるクラゲもいる。それがベニクラゲだ。寿命はないが、死は突然やってくる。ウミガメに捕食されてしまうのだ。5億年生き続けたかもしれない命はあっけなく終わる。自然の中の命は潔く、そして私たち人間の目には、なかなか届かない。
稲垣氏の著書には、普段私たち人間の目には届かないものがたくさん紹介されています。そこには人間と同等な命に対する敬意が感じられます。
「命」があるのは私だけではありません。

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