図書館から本の紹介  10月3日

2020.10.3

Soshin Jogakko

一気に秋めいてきました。
何をしようかな?と思っている方は、本に手を伸ばしてみてはいかがですか。
この二冊は皆さんもよくご存じの作家さんの作品です。
どちらも気軽に読める分量です。絵や装丁も味があり、楽しめます。

『猫を棄てる 父親について語るとき』村上春樹 文藝春秋
セピア色に近いトーンの挿画、手のひらにのる大きさの本。
作者がその父親を追想して書き記した作品です。戦中戦後の混沌とした時代に生きた父親を、少しだけ離れたところから描いています。
肉親はある時は煩わしく、ある時は肌触れ合い、運命という言葉が嵌まる存在だなと感じます。歳を重ねると当たり前だったそのぬくもりは、遠いところに去って行ってしまします。
何かに記すことで、その存在を大切にしまっておけるのかもしれません。

『大好きな町に用がある』角田光代 スイッチ·パブリッシング
どこか不器用、でも可愛らしい。それを自分の色とし、歩みを前に進めます。それが読んでいて楽しい、あっそうか!と心を揺さぶられる。上手なんです、文章が。そう来たか、と驚きます。
最近はあまり旅をしなくなった私ですが、角田さんが連れて行ってくれるあちこちで、その土地の空気や風、そして誰かに出会える一冊です。赤い表紙もいいですね。おすすめ。

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